物理哲学!

物理学について私が考えたことをぶつぶつ呟きます。

数M理論!~宇宙の果てから~

△[序文]

私は、今回は今まで述べてきたことの再確認をしよう、また、その中で若干の深掘りができたらいいな、と思い筆を執った。これまでも復習という名の下に様々書いてきたが、読み返して少々伝わりにくいと思い、より解り易い文章をという思いもあったので書いてみた。その出来は読者の感想に期待したいと思う。

さて、いつも通り初号のリンクは貼っておこう。

MP等価性からビッグバンメカニズムへ - 物理哲学!

また、略号も載せておく。

ME=数学的要素  PE=物理的要素

数M理論=数学的Mapping理論(本ブログの理論)

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[目次]

 

まず、初号の[仮定]を再掲しておこう。

▲[仮定]

全てのPE(物理学対象)は各ME(数学要素)に等価でありこれらは一対一に結びついている。そして公理系により規定された論理展開の始まりは、宇宙の始まり、即ちビッグバンに対応する。

そしてそこからの数学の論理展開に伴い、物理的変位が並行して発生する。この1論理展開は1プランク時間に起こるであろう。

 

▽[仮定の意味]

これをもう少しかみ砕いて説明すると、このようになる。

  この世には数学の論理しかなく我々の世界も、その中の存在である我々もまた数学の論理より成る。我々の見る物理空間とは、この論理空間の系の内部から我々が見て取ったもので、通常我々は物理対象を数学対象と区別する。しかし、実体は物理空間とは数学の論理空間の虚像であり、実質的には同一のものである。しかし、「物理学対象を数学対象と区別している」、と言えども物理空間には(奥に潜む)数学的性質が含まれており、我々は物理学対象の観測を通じて「数学」を導き出してきた。そしてそれを基に物理学対象の(数学的)性質をその「数学」を用いて表現し返してきたのである。これが通常の物理学である。

また、私は1プランク時間の物理的変位は1論理展開の数学的変位に対応する、という提唱を行った。これは物理的変位の最小単位と数学の論理展開の最小単位とが一致するという仮定から直ぐに導き出されるものである。そしてまたこれは、論理展開の始まりが物理空間の始まりであるビッグバンに等しいという結論に達するというビッグバンの明確な定義なのである。

 

一見受け入れがたいと思われるこの数学要素と物理学要素の等号「ME=PE」。普通の観念では物理学対象の本質は数学理論の「元」(例えば∀xF(x)のx)とばかり捉えられている現状があるが、しかし私の感じた直感は、各物理学対象は論理「そのもの」(例えば∀xF(x)そのもの)であり、物理学対象はその一つ一つが数学の各論理文などと一対一の対応関係にあるのである。ただ、一つ注意しておきたいのは、物理学対象全てが論理「」である必要もない。「(x)」が含まれていてもいいのだが、「文」ももれなく一対一に対応しているということである。

以上のような提案が本数M理論の基礎なのである。

 

▲[我々の世界とは]

皆さんは物理学対象をなんだと考えるだろうか?物理学対象とは「我々の世界」を構築するものと言う表現に留めてよいものだろうか?今回はまずこの点における疑問から議論を進めてみたいと思う。

 

今ここに「我々の世界」とは何なのかという問を投げかけられたとき明確な定義をもって答えられるだろうか?多くの人はこの身の周りにある「モノ」だよ!と答え、「我々」とかその「世界」とかの吟味までする必要はないと考えることであろう。狭い意味では確かに「我々の世界」のモノをその中で捉え,考える限りは確かにその世界の中でのみ議論をすればよい。しかしそれだと結局のところ私たちの身の周りのことを身の周りのもので表現はできてもこの「我々の世界」が客観的にどのようにして成立するのか?や、その中のPE間の法則がなぜ成立つのか?といった疑問にまで対応しうるものであるとは言えないであろうと思う。例えば(相対論的な議論なしに考えるとして)万有引力により物体が距離の2乗に反比例する加速度をもつ、光とはある周波数をもつ光子のことなどと言えるかもしれないが、「距離」「速度」「周波数」「光子」などは更にどのように定義できるであろうか?例えば「距離」とは何?と聞かれたとき「ここからそこまで」などと現実世界の概念と理解を無理強いしてはいないだろうか?例え「1m=1秒間に光が進む距離の何倍」と言っても当然、距離という概念とは切り離せないもので、客観的な説明でなく、言わば「我々の世界」の概念による説明でしかないのではないだろうか?

 

  確かにそのようなバックグラウンドの存在まで考えなくとも実際上、我々の周りの現象を説明しうる<理論>の存在さえ突き止めてしまえば、我々の予想を的中させたり、意図どおりPEを操作したりすることは可能であろう。実際、惑星の軌道を予想できたり、核エネルギーを利用したりできるようになったのである。「我々の世界」の説明は、一応その系内でできてしまうのである。しかしそれで十分なのであろうか?

 

▲[現代物理学と数M理論

確かに理論を突き詰めれば、一つの「究極の理論」なるものに到達するかもしれない。がしかし、現代物理学の研究は光が見えそうで見えないという状況が続いてきているのである。その究極の理論が突き止められれば、万物の全容が掴めるのであるが、現状はどうやらかなり困難を極めているようである。例えば「M理論」(数M理論と間違えないように・・・)など究極の理論の一つであろうが、その理解を得るには相当の数学力が必要と思われる。M理論は単純明解なものではないのだ。

ここで結論を先に書いてしまうと実は万物の本質は数M理論の中にあるのである。繰り返すが、その数M理論とは全ての物理対象は遍く数学論理文(「元」も含む)に等価であり、一対一対応であるというもの。更に言うと、我々は数学の論理展開という数学空間の中に含まれるのであり、その中で周りのMEsと相互作用している。そしてそれらを「PE」として系の中から認識しているのである。一方、数Mは系を客観的に見て取るので系の外からの解析と言えよう。そういった中で、通常研究はその枝葉の部分(論理展開の平衡状態)を考察し、そこから本質(ME=PE展開の基)を追い求めるというスタイルを取るのに対し、数M理論真逆で、本質を掴んでそこから枝葉の部分とのつながりを追い求めるというスタイルを取る。

 

▽[数Mの課題]

演繹01

こう見てみると、通常研究は展開後の状態から展開法則を見て取る点で「帰納」、数M理論は与えられた展開法則を用いて展開後の状態を見て取る点で「演繹的」と結論できる。

これらの違いを考えて見ると明らかに演繹的である数M理論の方が、優越性があるように見えるが、本質を理解したとしてもその枝葉の部分を考える現物理空間とのつながりの見出しに困難があるのではないかと強く疑われる。というのも数M理論の数M的考えによれば、ME(=PE)は平衡状態に至るまでに膨大な論理数になってしまうため完全な演繹の実行ができないからである。つまりは平衡状態の現在との完全なつながりを見出す点において困難があると思われるのである。

この点の困難は以前から述べているように「統計論理学」への移行という考えによって克服されていくべきだと考えている。実際、現在の通常物理学は暗にこの統計論理学の下での研究であるように思う。この統計論理学とは論理を形式毎に分類し、それらの性質や論理間関係などを考えるものと考えた。以前に述べたようにこのMEの理想化は統計力学と同様のものであり、論理群の(平均的)性質など論理の一般的取扱いに当たる。論理数が膨大となった平衡状態の今において適した方法なのである。例えば(A∧B)∨Cなる構造を含む論理文の一群が論理群α、(A∨B)∧Cがβ、・・・とし、αとβ、βとγ、・・・の関係を見るなどと幼稚な例しか思いつかなかった。読者の方々において想像されていただきたい。

 

▽[通常研究の利点]

通常研究と数M理論は3大相違点があった。もう一度、書き並べておく。

   ⅰ)PE基準か初ME基準か。

   ⅱ)理想化MEか具体MEか。

   ⅲ)ME≠PEかME=PEか。

前者が通常研究の考え方、後者が数M理論の考え方である。

さて、ここまで考えてくると現在の物理状態に根差す通常研究にも一理あるように感じられてくる。(特にⅱ)について着目)そうなのだ!通常研究は現在の平衡状態における研究であり、かつ統計論理学の上に成り立っている。そして平衡状態と統計論理学は強く結びついている。従ってこれらの要素を合わせもつ通常物理学は現物理空間の解析について大いに有効なのである。とはいえ、繰り返すが、現代物理学は困難に差しかかっている。そんな今にこそ真逆の立場から進める数M理論の有効性があるのである。

 

しかしながら数M的アプローチは本質を突く理論ではある反面、現在の物理学との接点を見出すという点では、まだ考察の課題のあるところなのである。論理数の膨大さが原因で、現ME状態の記述が困難になるのである。そこで例えば次の部のようなことを考えるとよいと思う。

 

▲[MP対応との関連]

上の困難を克服するためには次の「MP対応」なるものを考えるとよいであろう。「MP対応」とはMEとPEの対応付け、言ってみればMEへの物理的意味付けのことである。

 

我々はここまで数M的アプローチとして初期宇宙を、通常研究のアプローチとして現在の宇宙を解析対象として考えてきたが、本論の主張である数M理論の意義を持たせるためには数M理論の現在とのつながりを考えねばならない。というのも数M理論ではME=PEなる主張は示せても具体的に各MEに対応するPEとは何であるのか?といった疑問に対する説明は全く示せていないからである。その対応を見出すためには「物理的意味」の源となる現在とのつながりを考える必要がある。そのためには現宇宙のPE状態とMEの平衡状態を対応づけなければならないが、その平衡状態を見出すためには展開の基となる公理系の推定を実行しなければならない。しかし今はそこへの深入りをすることはまた別の記事に譲るとして、公理系の推定及びその平衡状態の展開ができたと仮定しよう。更に、これにより平衡状態のMEが解るから物理的意味の対応づけが実行できると仮定しよう。

ただ、平衡状態の算定にはもちろん単純な「手計算」は通用せず、コンピュータの活用や、既成理論(例えばインフレーション理論など)との整合性を図る、あるいはまた、完全な形では記述できないにせよ「擬似的」な形での計算として論理についての理論(メタ理論)でも解析すべきかもしれない。

 

一つ注意しておくと、平衡状態とは最初の1秒間で決まるとも言われており何も現在でなくても、もっと早い時刻まででも十分なのではないかと考えられる。以上がMP対応等、MEの意味付けの主要な考察である。かくしていくつかの仮定の下でではあるが、数M理論と現在の物理学との接点が見出せたことになる。

 

▲[数M理論の適用]

かくして数M理論が現在の物理学対象とのつながりをもつことができたと仮定しよう。そうすれば「論理展開」という完全な演繹性をもってこの物理空間を解明することができる。ただし、プランク時間は極めて短いのであるから通常の演繹では<現在の宇宙>を解明することができないので統計論理学や擬似計算を始めとして何らかの工夫を施しておく必要があったことに注意しよう。また、一方で<初期宇宙>については論理数が比較的少ないため、MP対応後そのまま演繹により解析可能と思われる。(MP対応は最初の1秒間での対応づけとしてあったことに注意!)

以上から数M理論ビッグバンメカニズムの解明に直接つながるのである。ビッグバンメカニズムは初号でも述べた数M理論の直接の帰結である。本論の基礎分野はこの初期宇宙なのである。とはいえ、現在の宇宙即ち「我々の世界」の数M的解析もできる可能性も擬似計算や統計論理学などから示唆されるのである。現代物理学の研究テーマの内ビッグバンの解明ができることは今述べたとおりであるが、現在の宇宙に目を向けてブラックホールダークマターの存在の解明にも寄与する可能性も十分にあると考える。

 

△[まとめ]

とにかく、この理論は壮大なのである。ここまで主張すると逆に大げさだと信憑性を失いそうだが、実際ここまで考える中で特に大きな欠陥はなかったように思う。確かに私の考えの浅さからしっかり検証された理論とは言えないが、ことの重大性との関係を考えると一考の意義アリ!と大いに言えるのではなかろうか?

私の実力では本論の確証を与えることは到底できない。しかし、これに興味を持たれた方の協力が得られればなにがしかの進展が得られることになるかもしれない。閉塞感漂う現代物理学に一つの光を与えることができるのではなかろうか。

 

それではまた!