物理哲学!

物理学について私が考えたことをぶつぶつ呟きます。

数M理論![13]~相対性理論との矛盾~

[目次]

 

略号紹介

ME=数学的要素  PE=物理学的要素

数M理論=数学的Mapping理論(本理論)

相対論01

 

いつも通り、初読者のために本理論の概要をさっと紹介しよう。

本理論は数学的要素=MEと物理学的要素=PEとが完全一対一対応関係にありこの宇宙は論理及びその展開により成っているとする理論である。ここからビッグバンの正体にまで迫ろうというのが本数M理論の射程範囲である。これに関しては★初号MP等価性からビッグバンメカニズムへ - 物理哲学!で詳しく、そして面白く語ってあるのでそちらをご参照頂きたい。

しかし今回は前回に引き続いてそこから推測される分野へと考察を拡張する。前回の記事では相対性理論との融合を主張したにもかかわらず、逆に相対性理論との矛盾に結びついてしまうという皮肉な結論と相成ったのである。とても困り、失望しかけたがその後暫くしてその困難を乗り越えられたと考えている。

それでは前回の矛盾について振り返ってみる。

 

相対性理論と矛盾

まず、私は3次元空間上に絶対論理空間というモデルを置くことを提案した。そこでは「原点」を設け、それが「絶対静止」していると仮定したのであった。そしてその原点静止系Sからの視点で、運動系S`の状態を(n、m、r)の組を用いて表記し、相対性理論との融合が成されるような相対性を考察して一応の理解に至ったのであった。(n、m、r)、S、S`などの記述については★12号数M理論![12]~相対性理論との融合~ - 物理哲学!を参照されたい。

さて、この考えと相対性理論とが矛盾している根源について考えておこう。まず、絶対論理空間モデルにおいては動かない「原点」を設け、そこからの「絶対速度」というパラメータを各系に与えることになる。そしてその絶対速度に応じて各S`系毎の相対時間、相対距離を算出するものであった。そしてそれらの間に相対性理論の式、ローレンツ変換を適用して相対時間などが相対性理論と整合性をもっているのかどうか調べたのだ。確かに原点からの考察のみによれば、相対性理論との融合が図れたように思えたが、決定的な矛盾が見て取れたのである。それは系S`からの視点での考察に見て取れる。

S系から見たS`の時間経過はm/n<1であったがS`からの視点ではS系の時間経過はn/m>1となりS`から見て動く系の時間の方が早く進むという結果となる。これはローレンツ変換等に反する。また  \small v_{SS \, '}= \dfrac {n-m-2r}{n} は通常  \small v_{S\, 'S }= - \dfrac {n-m-2r}{m} と絶対値が異なる。これも時空の等方性に反する。これに対し、これらの矛盾を除くため原点 ( \small v_{0} = \dfrac {n-m_{0}-2r_{0}}{n} =0 ) においてr0を大きくしS系の経過時間m0をS`系のmより小さくしても今度はm/m0>1となってしまう。このようにS系からの考察のみではなく、S`系からの考察も考慮に入れると途端におかしくなるのである。

 

▲解決の方向性

そこでこの矛盾の原因は何であろうか?という疑問に対して以下の(A)(B)(C)の可能性を考えた。

〇可能性(A)

絶対論理空間の考えは基本的に正しい。ただ一般の考察をするには議論に修正が必要。

〇可能性(B)

絶対論理空間は根本的に間違ったものであり、全く異なる論理モデルを考えねばならない。

〇可能性(C)

そもそも数M理論が正しくない。宇宙の本来の姿ではない。

 

これらの可能性は下に行けば行くほど好ましくないものとなっていく。当初、少々悩んだが今は(A)と(B)の中間が一番私の考えに近いと思う。

(C)は除くとすれば、そもそもこの宇宙は論理展開により成っているのだから通常のイメージのうちには収まらない。この3次元PE空間はME展開の結果生じたものであり、あくまで擬似空間だ。そしてその3次元空間では物理法則は絶対静止系Sではなく、相対論的系Rなのである。我々の世界のイメージではR系は想像しにくいが論理展開たるこの宇宙の性質は3次元PE空間においてR系を支持するのである。R系が本性なのだが、よく言われているようにv≪c故、S系であると認識されるのである。

今、R系の中にS系が含まれるということを述べたが、繰り返すとこの宇宙は論理のみにより成っているのであるからME空間の中にR系が支配する3次元PE空間が含まれると言ってよろしかろう。但し、相対論的系Rは3次元空間に留まらない普遍性をもった性質なのかもしれないことを注意する。

少し話を戻すと、モデリングとは我々の通常の概念に対して考察を施すことであるが、通常の概念とはこの3次元空間であり、純論理空間ではない。しかし実際は純論理空間である。この純論理群に対し、「原点」だとか「絶対速度」だとかいうパラメータを付随させることは不自然だろう。というのも、もし原点があれば宇宙に中心なるものがあることになるが、これは数M理論では実は否定される。宇宙に縁はあっても中心はない、これはまたいつか述べるつもりである。従って全ての系の物理法則が同じとする相対性理論の方が正しいということがここでも見て取れる。

 

▽[一言コラム;量子もつれ

話は反れるが、この世は論理より成り3次元空間は擬似空間であるから、(その3次元の中で)相関論理が別の場所にあってもよく、また同時変換性をもつから、量子もつれのように離れた場所の論理たちが同時相関性を持って変位することを認める。

相対性理論のように現3次元空間のみの考察には数M理論は留まらない。従って相対性理論で帰結された結論を超える理論となっているのだ、とさえ言って良い!

 

△おわりに

正直、絶対論理空間モデルを信じすぎていたため、前回の矛盾発生はかなり堪えた。相対性理論との矛盾について他にもいろいろ考えたが、今回はこの程度で十分であろう。またの機会に紹介できれば良いと思う。

 

それではまた!